設立に至った経緯


1.  CeMIは2009年3月3日に、iCeMSでのメゾサイズの動的構造の研究、その中での分子挙動の解明のための、イメジング法を開発し応用を進めるためのセンターとして、発足しました。

  2007年の10月に文部科学省の世界トップレベル研究拠点プログラム (WPIプログラム) に採択された京都大学物質ー細胞統合システム拠点 (iCeMS=アイセムス) では、メゾスケールで、物質世界と細胞世界の境界領域を調べ、メゾサイズの構造を制御して働かせる研究を進めています。メゾスケールでこの両世界は交叉し始めます。物質世界での知識を細胞世界の制御に、細胞世界での知識を物質の制御に、という、双方向での研究によって、新しい領域の学問を作ろうとしているのです。メゾスケールでの、両世界の融合は、次世代の技術の宝庫でもあります。そのようなメゾ制御という学問領域を作るための世界のリーダーとして貢献する、というのが、アイセムスの使命です。


2.  メゾスケールでの現象の面白さは、ナノスケールの単純なユニットが、熱揺らぎ(ブラウン運動)をもとに結合したり集合したりして、動的システムを作ったときに起こります。メゾ科学とナノ科学の主要な違いはここにあります。そのときに起こる面白い現象を捉える手法として、最も有効な方法として、以下の3つがあると考え、CeMIではそれを推進しています。すなわち、

(1) 分子(細胞の場合のユニット)1個ずつを直接に観察し、それらの大きな構造中(例えば、分子複合体や細胞中)での動きを追跡し操作すること、即ち、1分子追跡と操作(原田慶恵、楠見明弘)

(2) ユニットが集まって作る構造を画像化して調べること、すなわち、なるべく、生のままの現象を捉えるような高度な電子顕微鏡法(Heuser, John)

(3) 構造体を観察しながら、そこで起こるユニット間の相互作用を画像化して調べること、すなわち、テラヘルツ顕微光学(田中耕一郎)

です。したがって、アイセムスでは、構想時から、これらの方法の世界的リーダーを糾合して、WPIプログラムに提案したのです。


3.  アイセムス設立後1年半が経過し、目標がさらに明確化し、装置類の整備も進みつつあります。そこで、アイセムス内に、これらの研究室を中心とした「メゾスケールでの1分子イメジングにおいて、世界をリードし貢献するセンター」を設立することにしました。

 今までは、アイセムスのコアグループでは、外国からの研究者を招待する時に様々な問題を抱えていました。日本への地理的・心理的距離の遠さから、来日して共同研究をおこなうことをためらったりする外国の研究者も多いこと、また逆に、共同研究の申し込みがあっても、人手不足とマシンタイムの不足のため断らざるを得ないことも多いという問題です。本センターの設立によって、これが大きく改善され、世界からの第一線の研究者が集うセンターとなる基盤ができたと考えています。


4.  既に世界をリードしている4研究室が、外部に開かれたセンターを共有することで、シナジー効果、クリティカルマスの形成効果が生じると信じています。世界から見える1分子メゾイメジングの中心地・発信地にしたいと考えているのです。このような、国際研究拠点となることは、アイセムス全体の使命でもあり、本センターの設立は、それを格段に推進するものです。


5.  アイセムス研究者の標準的なイメジングの必要性に応えるという使命は、当然ながら重要です。しかし、それだけでなく、それを、もっと本質的に重要な先端的研究にまで高めるような、協働作業のプラットフォームとなることを目指しています。この努力を、そのまま、京大全体へ、京都・関西地区の研究機関へ、日本から世界へと、広げていきます。

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