CeMIのコアとなる研究グループ

CeMI は、iCeMSの研究グループのうち、イメジング技術において世界をリードする4つのグループ(見学、楠見、田中、Heuserのグループ)、および、 CeMI運営を担当する藤原グループが中心となって活動しています。さらに、iCeMS PI の Carlton、iCeMS客員教授の石舘、及川、伊集院らが参加しています。 

見学 美根子(CeMIセンター長)/ 神経科学


私たちの脳は、約100億個のニューロンが整然と配置して構成する精緻な回路であり、意識・無意識の全ての行動を制御します。私たちはニューロンのダイナミックな運動により脳が作り上げられていく過程を直接観察し、その原理を明らかにしようとしています。また、病気や怪我で損傷した神経回路を再生する技術にも貢献したいと考えています。


楠見 明弘/ 1分子細胞生物物理学


私たちの研究室では、生きている細胞の中で、細胞膜上の受容体やシグナル分子を1個ずつ(1種の分子という意味ではなく、ホントに1個の分子!!)、直接に見たり、引っ張って動かしたりしています。それによって、(1)細胞のシグナル伝達系がシステムとしてどのような機構で働くのか、(2)神経回路網はどのようにして形成されるのか、の2つの「作動機構」の問題にアプローチしています。生物が進化によって獲得してきた、シグナル系や細胞の社会の働かせ方の「基本的/一般的な戦略」を理解するのが目標です。これをもとに、将来のナノテクノロジー、ナノ再生医工学へと展開することを目指しています。

田中 耕一郎/光物性・テラヘルツ科学


本研究グループではテラヘルツ分光とその物質科学/生命科学への応用を研究しています。 現在、高出力テラヘルツ波発生および非線型テラヘルツ分光、細胞の近接場イメージングシステムの構築を主要な課題として、研究を進めています。

Heuser John/生物物理学、細胞生物学


電子顕微鏡を駆使して、生物試料を画像として捉えることを使命としています。細胞全体という「マクロ構造体」から、個々の高分子やその集合体という「メゾスケールの分子機械」まで、あらゆるものを「見る」ということです。特に注力しているのは、「生きているのに近い」状態の試料を調整することです。このため、「急速凍結/ディープエッチ」電子顕微鏡法を開発し、それに必要な装置と手法を世界中に普及させてきました。この方法を用いて、本研究室では、神経伝達や筋収縮、ウィルスの細胞感染、最近ではDNA導入時における細胞膜損傷と修復など、体の中で高速に起こる細胞現象の決定的瞬間を画像としてとらえ、実際に何が起こっているかを明らかにすることに成功しています。

Peter Carlton/ 減数分裂、染色体生物学、光学顕微鏡学


光学顕微鏡は、特定の生体分子を標識することによって、細胞中に数多あるその他の分子から標識された分子を可視化することができます。しかしながら、現在、一般的な光学顕微鏡の分解能は250ナノメートルに留まっています。この分解能の限界を超えるべく、近年多くのsuper-resolution顕微鏡技術 (例:Structured Illumination Microscopy, Photoactivated Localization Microscopy ) が開発されており、より微細なスケールで生体分子を可視化することが可能になりつつあります。私たちのグループでは、super-resolution顕微鏡を使い、染色体の構造とダイナミクスを明らかにすることを目指しています。特に減数分裂において、染色体がどのようなメカニズムで対合、組み換え、分裂するのか?という問題に注目し、研究を行っています。

藤原 敬宏(CeMI 副センター長)


 私たちが世界に先駆けて取り組んで来た、「生きている細胞中での1分子イメジング技術」をさらに発展させ、細胞膜が働く機構を解明することを、目指しています。最近、以下のような大きな発見がありました。
(1) 細胞膜は単純な液体ではなく、アクチン膜骨格によってサイズが100 nm程度の「メゾスケール・コンパートメント」に仕切られていて、膜分子はこれらの領域間を1―50ミリ秒ごとにホップして拡散している。膜分子が会合すると、ホップ頻度が大きく減少するため、細胞膜でのシグナル受容位置の記憶、極性のある細胞応答の起因になることがわかりつつある。
(2) 細胞機能から考えるとはるかに短い寿命 (10―300ミリ秒) をもつ、3個以上の分子からなる、分子複合体が、細胞膜上で起こるシグナル伝達の多くの素過程を担っていることがわかってきた。
 これらの発見と研究は、「生細胞中」で「1分子」を「高時間分解能」で追跡することで可能になったものです。現在、これらの研究をさらに発展させる努力をしています。技術的には、蛍光標識された2種類以上の膜分子を、同時に、1分子ごとに、分子サイズの空間精度(10 nm)で、現存する蛍光発光団を使ったときの究極速度 (33マイクロ秒分解能) で観察し、仕切られている細胞膜でのホップ拡散を見ながら、短寿命複合体の形成と分解、分子の活性化を、1分子レベルで、手に取るように見ることを目指しています。それによって、シグナル伝播の制御機構、クラスリン被覆ピットやカベオラの形成機構を理解したいと考えています。


石館 文善/CeMI客員教授


 

共焦点レーザスキャン顕微鏡(1光子、多光子)を中心とする顕微鏡イメージング技術の応用、開発を進めています。

及川 義朗/CeMI客員教授


共焦点顕微鏡や全反射顕微鏡をもちいて、ライブセルのダイナミックな蛍光イメージング手法やさまざまなアプリケーション、光学システムの研究などを行なっています。

伊集院 敏/CeMI客員教授


共焦点顕微鏡や多光子顕微鏡、また、STED法を用いた超解像イメージングについての生物学研究への応用をすすめています。

廣澤 幸一朗/CeMI 研究員


1分子イメジング法を用いて免疫細胞のシグナル伝達メカニズムの解明を進めています。

土方 博子/CeMI 研究員


1分子蛍光イメージングに適したラット初代培養海馬ニューロン試料の調製をしています。

矢杉 和義/CeMI 研究補助員

砂田 佳希/CeMI 研究補助員

中尾 亮太/CeMI 研究補助員

村田 叡/CeMI 研究補助員


画像処理ソフトの開発


 

CeMI参加教員の世界初・世界一リスト

1 細胞内での膜のリサイクを発見 1973、Heuser
2 生物試料を、生きているのに非常に近い状態で電子顕微鏡観察するための、急速凍結装置を発明。特許を取ることなく、多数の装置を生産して配布 1976、Heuser
3 神経シナプス部分でのシグナル伝達が、神経伝達物質の細胞外へのエクソサイトシスによって担われていることを発見。2)の急速凍結装置によって、これが可能になった 1978、Heuser
4 急速凍結した試料の、ディープエッチ法を開発。この方法によって、初めて電子顕微鏡で高分解能の3次元像が得られるようになった 1980、Heuser
5 生物モーター(繊毛・絨毛にあるダイニン)が力を発生している場面を、4)で開発した急速凍結ディープエッチ電子顕微鏡法で画像化 1984、Heuser
6 生細胞内での小器官の動きのビデオ撮影に初めて成功 1989、Heuser
7 ナノバイオロジーという言葉の創出 1991、楠見
8 蛍光1分子の水中でのイメジングに世界で初めて成功 1993、原田
9 閉じこめ拡散の理論式(平均2乗変位-時間プロットに対するもの)を世界で最初に導出 1993、楠見
10 細胞膜の基本構造にパラダイムシフト(コンパートメント構造)をおこした 1993, 2002、楠見
11 生体高分子の構造変化を初めて直接観察(酸性化によって活性化されるバクテリア毒素 (VacA)、ATPによって活性化されるAAA-ATPase (NSF):急速凍結ディープエッチ電子顕微鏡法を用いて) 1995、Heuser
12 金属表面上での蛍光1分子の実時間観察に世界で初めて成功 1998、原田
13 RNAポリメラーゼが転写中にDNAにねじれを起こすことを発見 2001、原田
14 世界最高の時間分解能での1分子追跡の実現(4マイクロ秒:250倍改善)  
15 細胞内の1分子追跡のみならず、分子活性化の1分子観察の創始 2004、楠見
16 テラヘルツ電磁波を用いた、時間分解全反射分光装置を世界で初めて開発(2004, 2007)、さらに広帯域化(0.2 THz – 7 THz)に成功 2009、田中
17 高圧急速凍結装置を開発 2004、Heuser
18 2色1分子同時追跡の実現と、2分子結合の検出法の開発 2005、楠見
19 2種のシグナル伝達分子が結合して、情報伝達する瞬間の直接観察に世界で初めて成功 2005、楠見
20 1.3 ミクロンの赤外線レーザーをもちいた顕微ラマン装置の開発に世界で初めて成功。有機・生物分子の非侵襲的顕微ラマン観察への道を開いた 2005, 2006、田中
21 「高圧急速凍結装置」特許化(United States Patent No. 7,293,426) 2007, Heuser
22 1分子追跡に基づいた、ディジタル式シグナル変換機構の提案 2007、楠見
23 1本のDNAを操作して硬さを計測しながら、結合した蛍光分子を1分子追跡する顕微鏡を開発 2007、原田
24 テラヘルツ分光法で水和数を導出する方法を世界で初めて開発、多くの水溶液系で水和数を求めることに成功 2007, 2008, 2009、田中
25 世界最高の時間分解能での1蛍光分子追跡の実現(50マイクロ秒:20倍改善) 2008、楠見
26 従来の常識を破って、長いパルス幅のレーザー光源から広帯域・高出力のテラヘルツ電磁波を生成する手法を提案し、実現 2008、田中
27 水の集団振動モード(6 THz)の複素誘電率を世界で初めて導出 2009、田中

 

 

協賛企業(アイウエオ順)

オリンパス株式会社
カールツァイスマイクロイメージング株式会社
株式会社ニコン インストルメンツカンパニー
株式会社ニコンインステック
日本電子株式会社
浜松ホトニクス株式会社
株式会社フォトロン  
ライカマイクロシステムズ株式会社

CeMI設立に、ご協力下さった企業(アイウエオ順)

アステック株式会社
アンドール株式会社
株式会社垣見汲古堂
株式会社京都サイエンス
株式会社三笑堂
株式会社島津製作所
株式会社真空デバイス
株式会社長角堂
ナカライテスク株式会社
日本フリーザー株式会社
日本ミリポア株式会社
株式会社日立ハイテクノロジーズ
日立アプライアンス株式会社
日立工機株式会社
株式会社増田医科器械
和研薬株式会社

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